ハードボイルドエッグ2&シャワー1/カンチェルスキス
工事現場の
オレンジと黒の看板の上で
蛇のように這った赤のランプが
入れ替わり
点滅してた
土の山に停まったショベルカーが
深呼吸して
街の明かりはほとんど
消えていた
真っ暗な高架の下
車の音も聞こえなくなって
頬には鈍い切れ味の寒さ
信号もない横断歩道を
おれは渡っていった
コンビニ前でたむろしてる
やつらの声だけ
ヤケ気味に明るかった
おれのプーマの靴底は
でこぼこがすり減って
平らになってた
雨の日のマンホールに滑って
地面で手のひらを擦りむいた
尻もちをつ
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