二台の洗濯機における青春の一考察/たりぽん(大理 奔)
農家の母屋を改造した学生下宿が
家賃一万円の住処だった
わたしは床の間のある客間の六畳
一二畳の居間には親友が
離れの六畳には先輩が
隣の六畳と四畳半には後輩が
それぞれ巣くっていた
各部屋はベニヤで仕切られていて
玄関から中庭に入り縁側からガラス障子を開け
私は自分の部屋に入るという構造
便所は当然くみ取り、別棟で
それもあわせて、彼女を呼ぶことは
至難としかいいようがない
台所も共同、石の流し台
崩されていない古いかまどが
使われもしないのに威張っている
風呂は大家さんちではいる
時間割を先輩が作るのでそれに従うのだ
順番待ちの時は大家の美人の娘が
[次のページ]
戻る 編 削 Point(37)