煙突のある風景/桜 葉一
 
はないかと思う。
そうならば、僕も大人になった時その秘密を知るときが来るのだろう。
もしかしたら知らないほうがいいことなのかもしれない。
あまり良いことでないから、子供には黙っているのかもしれない。
僕には良く分からないけれど、きっとあの煙突には大切な意味があって、
重要ななにかがあって、隠さなければならない秘密があるのだろう。

僕の住む街には大きな煙突があって、いつも白い煙をモクモクと吐き出している。
モクモク。
モクモクと白い煙を吐き出していて、その秘密を僕は知らないけれど、
今度いつか、僕に恋人ができたときは、一緒に昇ってみようと思う。
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