聞こえてくるのはアナウンスの声/葵 悠貴
私は雪が少し積もった川辺にいて、
持っていた白い貝殻を川の中に投げ入れる。
川の水は澄んでいたので、
貝殻がどこにいったのかはすぐにわかった。
素足のまま雪の上を踏みしめて、
新雪に足跡を残しながら歩いて、
少し川に入りながらそれを取りに行こうとしていた。
おそらくどこかで誰かを殺してしまった私は、
すぐにその場を去りながら携帯を取り出して、
アリバイ作りのためにメールをしようとしていた。
警察に、誰かに捕まらないように、隠れながら出口に向かっていた。
出口にはもう何人もの警官のような人達がうようよしていて、
どうしようと困っていると彼からの電話が鳴った。
私は、何故
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