旧式/たもつ
君が失い、僕が忘れてしまった
いくつかのことと
すべてのこと
僕らの
鶏肉は旧式だから
香ばしい香りをたてて発情してしまう
椅子は旧式だから
背もたれと脚はたくさんの人型の型になってしまう
窓という窓は旧式だから
窓の外と外はどこまでも繋がっている
缶切りは旧式だから
切断面は虹色の天気予報士となる
さて、その天気予報士といえば旧式だから
何も予報することなく海底から浮上してこない
ねえ、僕は誰よりも嘘をつくのが得意な子供だった
でもやっぱり旧式だから
まだ生まれてこない君を思い出してしまう
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