意識する昔/ヨルノテガム
刀
と書くと すでに
鞘から抜き出して
相手と対峙しようとしている
銀光りする刃が 一本の筋を
身体に呼びかける
絶え難く逃げられない
運命的な時が 瞬く間に 直前に迫った
私は 振り下ろすであろうか と考える
相手を亡き者にすべく
ひとつから ふたつに
断ち切る動作は
なかなか 始まり 終わらない
いや、私は相手の喉元に剣先を
突き刺すであろうか と考える
あ、思わず、今、こちらが
喉を ゴクリ鳴らして唾を飲み込んでしまった
聞こえていないよう ただただ願うば
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