はだしの少女/紫翠
ろう
君の世界全てを 唯一無二と感じるだろう
私を包んだあたたかな空気は 語り終わると、あっという間にちりぢりになった
ここには誰もいないことを、ずっと前から知っていたけれど、今はじめて気がついたわ
希望は、私の中に。
そして、求めるものも確かに今、この胸に。
あれから どれくらい たったのだろう
私は 夢中で世界を求め、自分でも勇敢と思うほどに歩き回った
それは 行けば行くほど 果てしなく、夢は尽きもしなかった
そして そして
私は今ここに帰ってきた
森は変わっていないけれど、少し歳をとり、もっと素敵になっていた
切り株の上には もうだれも座っていない
ただ 一本の芽生えが 木漏れ日に 小さな手を伸べていた
彼女は ひかる芽生えをじっと見つめて 静かに泣いた
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