夕方のベル/緑茶塵
 
僕の記憶をたどったら、金色のベルが鳴るよ
それはとても心地よい音をしていて、白いヴェールを被った女の子が金色のベルを鳴らす

夕方になると、女の子の持つベルのふちが赤い色に染まって、ベルは余計に綺麗に見える

でもそれは悪魔の音色

僕を誘惑する、堕落の音色

彼女の微笑が頭から離れない

ベルの音色が頭から離れない

でも僕はそのベルの音を聞きたくて、こっそり家を出る

女の子が通る道には誰もいなくて、僕はその後をついていく

気が付くといつも夜

もう町のはずれで、白のヴェールは綺麗な音色と一緒に遠ざかっていく

僕は町のはずれで立ち止まる

白のヴェールの女の子が、こっちを振り向いて微笑んだ気がしたよ
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