土 手/プテラノドン
の山に埋もれている
ストーブやら冷蔵庫を
真っ暗なモニターに貼りついた
見おぼえのない 小さな指紋を
あるいは 棺を抱いて歩く彼等のように
失った悲しみがあるかもしれない
そこに いつか忘れてしまうだろう
そこに署名するように僕も触れる
だがどうだろう―
僕はなんら失っていないのだから
悲しいわけなかった
ただ 孤独を慰めていただけだった
―一方で、テトラポッドにはさまっていた
ビニール袋を引き上げると匿名の「私」が、
明細書をドイツ語マニュアルと見比べながら
読んでいる。明細書には所々、赤鉛筆で線が
引かれている。僕はそれについて「私」に質
問されるよりも先に「ナイン!(いいえ)」と
答えた。
鳥が一斉に飛び立ったので
曇天は肩をすくめる―
やさしい 日ざしがあふれだす
こんなのって? 僕は尋ねるように
かすかに―笑った
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