土 手/プテラノドン
 
曇り空の一日に
土手を歩く僕は
ふいに 笑いかけて転んだ
鳥が一斉に飛び立った

僕は誰もいないマウンドに立っている
フェンスに向かって詩を投げる
一行きりの詩を投げる
フェンスの向こうで
鳥が一斉に飛び立った

焼き残った―すすきの原っぱ
古い壁のような―灰色の空 
羽音のない―鳥たち 
そのどれよりも
砂利道は涸れている
奪われるはずの足跡さえ 
風もないので すじをのこして
それっきりだった 
冬の形象は
何処へ還るでもなかった

六本目の指を用意しよう と
僕はひらめく
ささやかながら
捧げられるように と
僕は考える

粗大ゴミの山
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