リグニシブル/海月
ナイフの刃先で肌を撫で
切れた傷口を舐めている
周りは彼の行動に一歩離れる
彼を口々にこう言った
リグニシブル
彼に話す者など一人もいない
彼は専ら孤独を望んでいた
なぜなら周りに危害をくわえない為に
その事は本人から聞いた訳ではない
信用性に欠けるけど信じていた
彼はいつも何かを書いていた
彼は誰かに見せるはずもなく
周りは批判と軽蔑と罵声を与えたが
僕は何も言えなかった
リグニシブル
君の書いているものを教えてくれないか?
リグニシブル
僕も君と同じなのかも知れないんだ
彼と話すようになって数日
彼の本音を聞いて
何処の言葉よりも信じれられた
重たく語る声に刹那を抱いて
頚動脈に触れていた
彼の手を見つめて数日
いつも撫でる時は震えていた
演じることに疲れた
最後の言葉を綴り
最後に撫でた
リグニシブル
君の書いた続きは書いても良いのかい?
リグニシブル
君と同じなら今日から僕がその名を引き継ごう
リグニシブル
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