[ 砂時計 ]/渕崎。
 

人の一生を例えるとするならば、
それは砂時計だと
わたくしは思うのでございます

さらりさらりと落ちていく砂は
まるで止まることを知らない
非情で無情な時そのもので
砂を閉じ込める硝子は
私達の狭い世界そのものでしょう

さらりさらりと落ちていく砂は
一定速度を保ったまま
非常に無常に時を刻んで
砂を閉じ込めた硝子は
一種の芸術かと思うほど繊細であります

わたくしは無性に苛立って
きらりきらりと太陽に反射する砂時計を
力一杯、遠くに放り投げてみました
硝子細工の砂時計は
あっけなく地面に叩きつけられて
粉々に砕け散りました

けれど、時は止まった
[次のページ]
戻る   Point(3)