[ 砂時計 ]/渕崎。
人の一生を例えるとするならば、
それは砂時計だと
わたくしは思うのでございます
さらりさらりと落ちていく砂は
まるで止まることを知らない
非情で無情な時そのもので
砂を閉じ込める硝子は
私達の狭い世界そのものでしょう
さらりさらりと落ちていく砂は
一定速度を保ったまま
非常に無常に時を刻んで
砂を閉じ込めた硝子は
一種の芸術かと思うほど繊細であります
わたくしは無性に苛立って
きらりきらりと太陽に反射する砂時計を
力一杯、遠くに放り投げてみました
硝子細工の砂時計は
あっけなく地面に叩きつけられて
粉々に砕け散りました
けれど、時は止まった
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