未明とむらさき/木立 悟
 
って歩み
向こう岸にだけ降る雪を見る
何かを縫う音が響く
無心に何かを縫いつづける姿が
星と雪にいろどられながら
夜の川を流れてゆく


遠く斜めの灯りに照らされ
薄暗がりの陸橋の上を
巨きな蜘蛛の影が横ぎり
鉄路のほうへ消えてゆく


渦の風に漂うオリオン
瞳から瞳へ打ち寄せて
道の光を踏みしめることなく
心は歌い 歩みを歩み
空をわたる会話と鼓動
空をわたる鳥たちのこだま
空をわたるむらさきを見る









戻る   Point(4)