R E D/クリ
 
トに?」
「いいな、帰るとこあって」
「ナニ?」
「アタシね、もうイイから…」
その台詞は小惑星の衝突
自信は電子レンジの中の玉子のように飛び散る
僕はT-REXになって夕焼けを恐怖する


恋のように赤い
情熱のように赤い
産みたてのように赤い
「止まれ」のように赤い
血のように赤い


「ヴァレンティーナ、ごめんね」
「謝ったらダメだよ」
「どうして?」
「だって、そういうストーリーだもん、最初から」


夕焼けには、恐怖する以外に術はない
それは暗黒の前駆?
粘菌を模倣する血溜まり?
巨星となったソル?


僕と君には、もう話すことが残っていない
空間が時間に取り残される
胞衣のように欲望は流れ下り
ひとつの種が絶滅し
林檎のように塊は喉に詰まり
アルベドは目に見えて降下し
永劫回帰のように関係が閉じる
そのあいだ
夕陽が雲に乗って流れている


                        Kuri, Kipple : 2000.11.07
戻る   Point(1)