継ぐ人/umineko
に明らかな負担を強いていた。もう、ゆるやかにライフスタイルを変えるべきころ合いなのだ。たぶんみんなわかっている。だが、彼の意志は揺るぎない。
(ワシは、一生懸命やったんじゃ)
(ワシのことを悪ういう人は、ひとりもおらん)
食卓を囲む誰に告げるでもなく、そういって彼は立ち上がる。
誰が悪いとか。病気のせいだとか。そんなことは、問題じゃない。
延々と受け継ぐことを。誇りにする時代が、ここにあったのだ。
私は、遠い歴史の上で、繰り返される哀しみを、思う。
私たちは。人の中で生き、人の中で死んでいく。
その事実が胸を塞ぐ。
私たちは。何を残していくのだろう。
私は。どこにいくのだろう。
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