猿精/田代深子
 


鉄柵に囲われた駐車場
夜の水溜まりより黒い わだかまり
うごめい たようだ 眉根しかめ眼を
夜より黒い水溜まり よりもっと
濁りまじる ぬらり 猫背のましら
互い気づかれ アスファルトにすりついて
出会ったからには 眼をそらしては
長くねじれた腕が いびつな胴と
頭をひきずり 鉄柵に寄ろうとする
来るな! ましらは止まり水を吐く

  おまえのつれあいは
  おまえのせいで
  みなに責められ耳かされず
  仕事はとりあげられ
  おまえと一緒に路頭に迷う
  みなしていることであるのに
  おまえのつれあいだけが
  責められ傷められる
  みながお
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