傷、いとしく/たりぽん(大理 奔)
 
冷たい雨の暗がりが
ぼんやりと寂しく誘う
私を溶かし込むには
ちょうどいいおおきさで

ほほにつたう
みぞれの砕けた飛沫(しぶき)
雲からはぐれた
それも孤独

  いいわけ
  と嘘で
  踏み込まず背を向けた
  傷

大切なものはいつも永遠じゃない
ひととき灯した篝(かがり)
埋火(うずみび)で首筋に刻んだ
痛みの跡
そっと掌(てのひら)でなぞる


君の名のようにそれが
愛しい






2005-10-15 未詩投稿 いとしい 改稿



戻る   Point(10)