熱油光/木立 悟
 




恐れがあり
軋む音がある
雨が朝を埋め尽くす
そこに無いものさえ現われを捨て既に在り
私は自分を脅す自分に気付く



痛みの無い棒状の音が
私を眠りから引き離し
私の生を嘲笑う



零落
墓標
飛び立つ影の群れ
顔を切り取られ
鏡をはめ込まれた肖像画
折れた言葉は
短く続く夢
廃屋の壁にうつる朝焼け



恥骨の地層の切り株に
白く腰掛け 獣は詩う
餓死の森をふるわせて
私の生を嘲笑う
私の生を嘲笑う









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