彼の名はドランコ。誰よりも勇敢な戦士だった。/腰抜け若鶏
 
行けないさ
すまないドランコ

おお神々よ、我らの声を聞き給え
この身は朽ち果てようともかまわない
だがせめて我らが姫は、姫だけは
醜く卑しい汚れから救い給え

我らが姫だけは何としても守るのだ
くっ、俺はもうだめだ
諦めるなドランコ

見ろ!ヘドロが退いていくぞぉ
助かった、俺達は助かったんだぁー
ヘドロのやつめ、ザマー見ろ

はぁはぁ、どうやら終わったらしい
・・・
そうか、俺を置いて逝ってしまったか

よかった、姫は無事だぞぉー
心に平和が戻ったんだぁー
俺達は汚れから守られたんだぁー

人々はこの心がドランコという一人の勇敢な戦士の死によって
守られたことをいつまでも知ることはなかった
しかしアントニウスは彼の名を生涯忘れはしないだろう
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