ALL/大小島
　
私は朝、起こされる
寒い朝だ
点呼の声がきこえる。どこから？
どこか遠くの山の向こう
だれが？だれか望んではいないのに
はりあげている声
私は、みんなと一緒にもくもくと歩く
よくみると、みんな一様に顔がみえない
みえないのは顔だけじゃなく、その体には
番号がふられていて、それ以外のものが
うすくなっている
「おい、２８」私は、小声で呼びかける
「大丈夫か？」わかっている、私は。
うすくなっているのは、この世界のみんなじゃないことを
みんなじゃないのに、ここはみんな
うすいのだ

「２８．異常だよ、ここは」
「異常？ここがか？」
「なんのために歩いている？」
２８は私の質問に答える
ものを言わず、手で
「お前は
バカか？
死んでいるのか？
考えろ」

拳銃のげき鉄をおこす音がする
私は寒い
みんなはさむくないのか
私は冷たい
冷たくて重い
みんなは？
ゆっくりみんなは歩いてる
消えながら、みんな

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