にじみよや/木立 悟
 




光は翳りの青に水
隠された刃の嘆息を見る
雨は何も濡らさずに
ほんの我頭上(わずか)に平たくとどまる



夜ともなればあたりは静かなうなりを残してしんとなり
遠くの音が手をのばせば掴めるほど近くに感じられる
水をゆくもの 地をゆくものの鼓動が
うなりの間をすりぬけて近づき
粒子色の袖もまばゆく私の床に横たわる



闇に汗ばむ蛍光灯
胸を押す匂い ざわめき



片目に至るは痛みの小鹿
まぶたに彫られた瞳をなめる









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