冬知らず/便乗鴎
ターを抱えたまま
僕は予定なので商店街を散策する
ひとは勤勉で
さみしいことなんか無かったから良かったよ
花屋の店先で 冬知らず という花を見つけ
じゃあこの花の気持ちは一体いつの季節なんだろうと
じっと考え込んだ
ミニトレがしいらない と駆け抜けていく
僕の気持ちは今ゴムまりになってあの青いそら、
灰色の雲にはりついているけれど
風に吹かれて
日記代わり予定帳がわりになっていた
マジックで汚い名前が書かれた大学ノートがぱらり
ぱらりと捲れている
まだ乾いていない
いや、曇りの日に干された
下着のような哀しみが視界にちらちらと映りこんで
さっと流れていった
風に吹かれていて
ノートから誇張された詩(うた)がちぎれ舞い、
飛びたっていった
煤けた製紙工場の煙突の上
新しい季節を満喫している
何度も噛み締める
冬知らず
冬知らず と何度も
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