さくら/霜天
た
その布もきっと
弾かれた鉄板のように強く音を出してみたい
願うはずで
なにもかも、どれかひとつを選びなさいと
差し出されたものを食べて大きくなりました
そう、願うように僕ら、暮れられて
いつか部屋にはひとり、ふたりだった
淡い色の花が僕らの隣を埋める
とりあえずそれで口の中をいっぱいに、して
どこか、ちらちらと、満足していけるような
もうすぐ、すべてが帰っていきます
閉じていた本を、開いて
さよならというよりも
ただいまと名付けて
咲く、(僕、又は君)等の
可能性、といえますか
振る手のひらの、上の線が見えますか
そこには、ため息と等しく、足跡より深く
刻まれた道筋が地図の上になぞられて
まだ、見張っていますか
僕らは暮れる、それが出来て
咲く花の淡い一枚を口の中に押し込んで
笑いあって、その線上の
家路の
帰る、ための
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