ストローク/霜天
 
絡まり合った人たちの影も
それはそれで綺麗だった
東京
そこから抜け出すと
混雑していた日付が
見慣れない文字に変わっていく
月が、取り残されている
南へ向かう電車に深く沈み込めば
暖かい空気にまた、誰かが泣いている気がする
その肩に置ける手を
生憎、今は持ち合わせていない


息継ぎが上手く出来ない
昔からの悪い癖はどこへ行っても
送電線の隙間を越えて
染み出すように広がっていく
ビルとビルの隙間に行き詰る
継ぎ接ぎだらけの街路と
眠れない夜に出会ったスコール
広い道にも慣れたはずなのに


繰り返しで雨が降る
往復運動の爪先で痛さを忘れてる

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