虫も殺さぬ/佐々宝砂
、しばしば残酷な行動につながる。実際、子どものころの私は、小さな生き物たちにいろんな残酷なことをした。バッタやカマキリを引きちぎってハリガネムシを引きずり出してみたり、芋虫を小さなスコップでミンチにしたり、カエルを切り刻んだり、セミの腹を割ってみたり、オタマジャクシをつぶして渦巻き状の内臓を絞り出したりした。なんでそんなことをしたかというと、中身が見たかったからだ。機械好きな子どもが、やたらに機械やおもちゃを分解したがるのと似ている。長じるにつれ私の興味は分解から収集にうつり昆虫採集に興ずるようになったが、やはり虫を捕らえて殺すことにかわりはなく、私は嬉々として虫を捕まえては赤や緑のエタノールを虫
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