死神と私 −回転木馬−/蒸発王
 
“回転木馬は月夜が本番ですよ”
目の前をスキップしながら語る死神の後を
私は諦め半分で歩いていました


夏の果実は真っ赤に熟しているというのに
少し遅めのマリッジ・ブルーが私を襲っていました


結婚したばかりの彼と仲が悪いわけでは無いのです
けれども何か確かな物が足りなくて
結局夏の初めに
空々しく家事を終えると
用も無いのに名付け親の死神の所に転がり込み
そのまま過ごしていました



死神は最初何も言わなかったのですが
今日の夕暮れ
いきなり遊園地に行こうと言い出しました
子供時代も満足に連れていってくれなかった遊園地です
今更何の用だろうと怪訝
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