劉海戯金蟾/The Boys On The Rock
目つきで値踏みする骨董屋主人の顔色が変わる
「お値打ち品ですね」と
お宝であることを断言し あまつさえ
「よろしければ、うちで引き受けますよ」と
売りを勧めてきた
ここで初めて 奴の魂胆に気づく
夜離れしたぼくへ 蛙の自己アピール
と同時に切ない脅迫
お宝と分かれば みすみす
田舎の骨董屋に売っぱらう道理はなくて
そそくさと 店を出ると
いつのまにか 手にした巻物は消え
肩にはすまし顔の蛙
ちっ と舌打ちしたぼくを
少し悲しそうに覗き込んでいたやつは
すぐに お約束のファニーフェイスになって
ケロケロと鳴いた
たぶん
こいつと別れることはできないな
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