「透明」という色/ベンジャミン
 
「透明」という色を知っている


真実は色を重ねるほどに
現実へと置き換えられてゆくから
いつまでも透明は透明のまま
誰の目にも映らない

だから雨が降る日には
跳びまわる視界のあちこちで
自然は自然の色を見せ
詩は言葉となって人々の胸に届く


「透明」という色を知っている


悲しみが涙に変わるとき
あたかも純粋であるようなその色でさえ
過去を塗り変えたに過ぎないことを
誰もが知っている

けれどそれは
美しく在ろうとするがゆえに
透明に見えてしまう


「透明」という色を知っている


晴れわたる
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