金色の旅人/秋月 笑
 
ふと 家並みが途切れると
東の空に かの旅人が姿を現した
美しい金の灯りの燈る
いつも変わらぬ 微笑みをたたえて

毎晩毎晩 同じ時刻に
太陽の沈むのを待ってから 現れる
謙虚な旅人
その長い旅の途中に 毎日
あの空にやってきてくれるのはいいのだが、

それが
道に迷って 同じ場所を
ぐるぐる廻っているだけなのなら
哀しい

自身の居場所を探しているのなら
そこは あなたが今笑っている
その場所 その大空なのです
月よ

もう迷わないで もう彷徨わないで

夜景を見下ろすその瞳から
もう 銀の星屑(なみだ)を
零されませぬように
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