銀砂光獣/木立 悟
がよみがえる
子はけだものを噛みけだものは子を奪い
血は流れかたまり混じりあい
汗と涙がかたまりを溶かし
血はふたたび流れ
混じることなく流れ
それぞれの渦を受けとりあるいはまとい
人の姿は降りはじめた雪にまぎれ原から消えてゆく
あかるさでもあつさでもない
肌に触れては離れる光に目を閉じ
けだものはまた一歩積もることのない冷たさを踏む
冬は秋に 秋は冬に
ふたつはもどり めぐりめぐる
失われたはずのものは失われず名を変え
炎の翼のようにゆらめき
けだもののすべてを見えないはばたきで満たす
在りつづけるものたちに気付かないまま
けだものはまたひとつ 星の季節をすぎてゆく
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