銀砂光獣/木立 悟
殪(たお)し殪(たお)されるもののすがたかたちが
地から離れ重なり 再び降り立つ
舞うものたちと逆に回る花
乾いた土の上ではじける血
低い緑の中にひとり
いつまでも治らない傷をかかえ
風のしみと雨雲に染まりながら
冬の呪(つぶや)きを呼吸するけだものはいる
遠くの祭の音と光
飾りと化粧と踊りと子等
原のすみを斜面に向かって駆ける
家のあるもの無いものの影
離れてゆくあたたかい結晶を見つめながら
四つの足はさらに濃い雲へと進む
日没を呑むように見つめれば
指の間の闇が深いほど強く
うなじまでとどかない子の腕の輪がよ
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