冬原霊/木立 悟
欠けた星が昇り鳥を追う
灰の大陸と
薄暗い蒼の大陸をかきまぜながら
夜の光は地ににじむ
倒れた木々は生きつづけ
枝は沈む光に向かう
死は重なり生は隙間を埋め
霧はかがやきのない地をなぞる
地図を持ち光の原を抜け
消えかけた山すそに立つけだものの名を呼ぶとき
幼い霊の腕(かいな)から
無色の言葉があふれ出る
遠くの水のにおいを見つめ
目を閉じ さらに遠くを見つめ
生き死にの間の毒が
その手の内で消えてゆくのを見つめる
夜にはじかれた夜を捜して
鉛は自身を燃やして駆ける
かがやきがめぐり過ぎ去ると
三日月の渦がふいにあらわれ
木の顔 崖の顔たちを照らす
闇のなかを闇が動き
幼い笑み等がかたわらをゆく
息のような生きものたちが静かに集まり
川のなかの夜に涙を流す
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