初期詩篇選集「尾行者の音楽」/岡部淳太郎
あなたを存じあげませんでした
実を云うと
まだ出会ってさえいないのですが}
どこか遠くで
{引用=道の終着点の
大きな街路樹の下に坐りこんで
通り過ぎる群集心理を見つめている
真っ白な空のオブジェ頭上に寝そべり
鳥たちがその間をぬって飛ぶ
誰もが誰かにひそひそ囁き
その固まりはざわざわざわめいてひとつになる
ふと幻を見たような気がした
新聞の社会面と世界地図の間に
どこか遠くで
大きな旅人が砂漠を乗り越えている
平和な街で
どこか遠くの土地を思う
世界はひとつ 僕たちはひとつ 僕や君はそれぞれにひとつ
空がすっぽりと地球を覆っている
群
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