ディープ小春日和/カンチェルスキス
ユニットバスに潜ろうとして
潜ったとしても
この深さじゃ潜れたことになんのか
わかんなくなって
水中で
ぼやけた風呂の栓を眺めてたら
天井から冷たい水滴が背中に落ちて
おれは自分でも思いがけない言葉を
口走った、
熱っ。
わかったのは
別のことだ。
神社の前を歩いてた女が
犬のクソのためのビニール袋を
うれしそうに
ぶらぶらさせてたのは
犬のクソを拾ってボーナスポイントを奪取した
からじゃなくて
今日がね
ポケットに手を入れなくてもいいぐらいの
小春日和だ
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