きみがいる/KazMi
 
蒸気の壁
そのあちら側
そこにきみがいることを知っていた
煤で汚れた手を伸ばして
薄暗い空間を弄る
立ち入り禁止のボイラー室で
僕らは少し
ロマンティックに恋をしたかった
様々な機械の稼動音
無機質な音のなかに
聴こえた
僕の名を呼ぶ君の声
確かに君を感じたけれど
抱きしめられなかった
白いワンピース汚したくなくて
立ち入り禁止のボイラー室で
僕らは少し
ロマンティックに恋したかった

結局君に触れられなかったあの夜
僕はただ
白いワンピースを汚したくなかった
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