祭の客/
木立 悟
さびれた館の馬像の陰から
子供が数人こちらを見ている
塀は陽に照らされ指にやわらかく
その上で子供のひとりが
虫喰いの木洩れ陽を目にあてて笑う
水たまりの底の景色を踏みにじり
子供たちがひとりひとり
その性別の無い姿をさらしはじめる夕闇ざかり
いつのまにか店だけが集まり
訪れるはほのかな水神祭
電球色にかがやく手まり
浮かれた小さな鬼となり
家の無い子供たちにささやく「お帰り」
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