死にぞこない/七尾きよし
 
何度か死にかけたことがある
一度目は歌舞伎町コマ劇横の歩道で
ジュースに何か混入されたようで
心臓がぼかんと爆発したかと思うと
身体の内部が気持ち悪くなって
吐き気はしないんだけども
鼓動がだんだん弱くなってくのがさみしくて
遠い暗闇の中で
さようなら
って小さな声が聞こえて
おいおいこんなとこで
死んでたまるかよと
叫んだけど声にならなくて
しゃがみこんで
トクントクンって心臓が
弱弱しく最後のリズムをならして
ぼくは意識を失った
でも死にませんでした

二度目は南インドの
またもや路上に横たわって
死にかけてました
獣医の卵だとかいう修行仲間が

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