哀愁12才/ブルース瀬戸内
考え込んだって始まらないんだと
12才の少年は決心して
14才の少女に、
好きです、つきあってくださいと言って
年下に興味はないのと言われて
考え込んでしまって
自分は帰国子女だから本当は14才だとウソをついて
ウソつきは一番嫌いなのと言われて
考え込んでしまって
自分は数えで14才だと言って
じゃあ私は16才と言われて
考え込んでしまって
考え込んでしまって
でも
考え込んでも始まらないんだと
12才の少年は口笛でバラードを吹いて
給食当番の袋をくるくる回して
哀愁を感じさせようと
少女に背中を向けて
下校を演出しました。
気づくと何事もなく
家の玄関に足を踏み入れていました。
口笛が、ひときわ大きくなりました。
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