ねがい/石畑由紀子
 
れをみて
無無無無無、と
おとこのつまはなげいた


いちねんぶりにおなじふとんのなかで
おとことおとこのつまはねむりについた
おとこはおとこのつまのちぶさにふれることもなく
おとこのつまはおとこのさこつをなぞることもなく
ただただふかいねむりのなかへおちていった
空、空、空、と


つぎのよるも
つぎのつぎのよるも
そのつぎのつぎのつぎの
かぞえきれないくらいのつぎのよるも




やがておとことおとこのつまは
べつべつのやねのしたでねむるようになった


おんなのねがいはかなわなかったことを
おんなはしらぬまま
めじりをぬらしきょうもほほえんでいます



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