ねがい/石畑由紀子
れをみて
無無無無無、と
おとこのつまはなげいた
いちねんぶりにおなじふとんのなかで
おとことおとこのつまはねむりについた
おとこはおとこのつまのちぶさにふれることもなく
おとこのつまはおとこのさこつをなぞることもなく
ただただふかいねむりのなかへおちていった
空、空、空、と
つぎのよるも
つぎのつぎのよるも
そのつぎのつぎのつぎの
かぞえきれないくらいのつぎのよるも
やがておとことおとこのつまは
べつべつのやねのしたでねむるようになった
おんなのねがいはかなわなかったことを
おんなはしらぬまま
めじりをぬらしきょうもほほえんでいます
戻る 編 削 Point(3)