ねがい/石畑由紀子
せとぎわ
おとこのわらいごえは
打破破破破、で
でも
おんなのわらいごえは
不不不不不、だった
それは
おとことおんなのかげで
苦苦苦苦苦、と
おとこのつまがわらいをこらえているのを
おんなにはきこえてしまったから
おんなはおんななのでおとこがいとおしく
おんなはおんななのでおとこのつまのきもちがよくわかる
祈っ、とふたりをにらみ
願っ、とおとこのほほをなぐって
わきみちひとつないみちをみすえたあと
おんなはあしばやにさっていった
おとことおとこのつまはいえにかえって
ふかぶかとしょくたくのいすにすわり
夢夢夢夢夢、と
おとこはないた それを
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