ブレス/
久野本 暁
北風は
私の心許ない眼から
コートを剥ぎ取ったのだ
路傍に横たわる浮浪者と
それを蔑む男と
それらを流し見る人々と
それらを見詰める私の
すべてが ほんとうに
まっしろで なみだした
すべてが ほんとうに
平等で
見上げた空
遠い悲しみに 向かって吐く息
しろく 汚れていた
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