靴の底、水性の声/霜天
 
ったことに、して
この街は、この街は
回っているんだよね、と

そしてそこからは僕が零れていく
あの時の角を左に折れていれば
きっとそこには一昨日があって



いつも、夏には
溶けては、残らない言葉ばかりが
急に暗くなっては僕らを叩いていくように
空から降り注いでいる
きっとそれは
何よりもやさしく


背中に張り付いたシャツの
感触がまだ、消えない
子供のころのいたずらみたいに
こびりついては
いつまでも消えてくれない

夏には、水性の
靴底から崩れていく僕の根元
あの日あの人は確かに
そこが好きだと言っていた
気がする




そして、左に折れて
僕も溶ける
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