閂釦/黒川排除 (oldsoup)
 
数千万の草ばかり残る

都市の端くれとして煉瓦を投げつけ一日疲れた腕

死にもの狂いのもの見ずもの忌み

入ってくる遠のいてゆく窓、窓しめて

実家の実写ねじたフィルムにあとあかり

倉庫に肩ばかり見え幻想抱かず

巫女ちぐはぐ特に袴の清き窒息

靴吊るも来たらず

母と義母似るたがいの鏡をもちあわせ

夕日充満するキッチンに赤身ひたす

あかるい街に見えないこともないが缶詰

ビーチに白衣と試薬が干してあり無の境地

飛び移ったテラスも水くさい

錆び置かれてヘッドギアまぼろしく匂う

結露の窓を動く影ひとであってほしく

首から下入り口にして家の壁を這う

工場ふくらんでいる焼けて

悪しき農家に刈り入れた麦くらます粉塵

遮二無二笑う土曜の青に妹奪われ

柳かなしいのね私は石ただ濡れるだけ
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