VISION/七尾きよし
 
遠い遠い昔
シーラという女の子がいた
首飾り細工師の娘として生れたけども
故あって神につかえる巫女としてその一生を終えたシーラ

ヤサクという若者がいた
ある夜、炎を囲んで行われる戦士となるための入門儀式で
彼は雷に打たれながらも戦士の歌を歌い続けた
部族に伝わる伝説を受け継ぐ長老はヤサクに勇者の称号を与え
彼は西方の荒野へと約束の地を求めて旅立った
そして決して戻ることはなかった

シーラとヤサク
決して切り離すことができないほど固い絆で結ばれた二人の魂
けれども二人の人生は決してつながることはなかった
荒野の彼方へとやっとのことでたどり着いた年老いたヤ
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