夜/木立 悟
 
冷気が出会い弾け飛ぶ
積み重なる暗がりに盆地を導く金属音
連続も意味も失(な)い壁と土の言場(ことば)へと落ちる



水に没した建物を継(つ)なぎ貫き
森は錆の両手をひらく
河原の幽霊はみな淡い金
風ごとにあちこちの砕けた鉄骨も染まる
水たまりの底の泥の轍が
ゆっくりと石になってゆく
ひとつまたひとつと流れつき
草ふく光の身体はかさなり
うろこの背の中洲になって
川のなかの空を変えてゆく









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