会話/
チアーヌ
川へ降りてゆくコンクリートの階段の途中に
錆付いた赤いドア
階段の上と
下で
わたしはあなたと話していた
川はさらさらと流れていて
本当は気にしていることを
お互いに絶対に言わない
赤いドアが開いて
中からおばさんが出てくる
「掃除をするから邪魔よ」
わたしは階段を上がり
川べりに止めてあるワンボックス車の3列目シートに
身を横たえる
早く来て
しばらくの間ぎゅっとしているだけで
いいから
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