夜の終わりに/木立 悟
しれない
狂った子供になれるかもしれない
今は揺れを作り出し
閉まる直前の幕を戸惑わせておくことだ
夜を忘れる度にやってくるこの熱は
幼い菩薩のように恐ろしい
鍵をちらつかせて
曜日は去ってゆく
水を見つめる私生児 混血児
窓の下
猫は顔をあげ雨を浴び
のどを鳴らす
うろたえることはない
したたりは止まない
何もかもが不思議でたまらなそうな
飛沫色に染まるあの小さないのちたち
闇を従える下肢のしなやかさこそ
猟師の獲物
私の詩髄
ひびき
本能の声
石の恍惚
細長い山道で
麦と麦とが殺しあう
底のほうから舐めつくす
与えられたものばかりを
すべて
与えられたものばかりを
そして
作者も
題名もない詩集が現れる
ふいに猟師の顔をして
ふいに猟師の顔をして
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