不透明な ものたち/落合朱美
 


酸性雨が降り
森が枯れて
花は身じろぎもせず
こっそりとあぶくを吐く

内なる情念を
笑った眉尻にはりつけて
澄んでゆく



道草が過ぎたので
傘をなくしてしまった

雨にうたれた場所から
透きとおってゆく


とこしえにつづく空の果てから
春はそろりとやって来たけど
出逢ったとたんに
うずくまって震えていた

この緑色の髪が
いけないのかもしれない






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