春の裁ちかた/
たもつ
世界で一番悲しい人が笑った
花のようだった
花の名前と同じ速度で
列車は走った
良い陽が入るね
そう話す乗客たちの袖口は
等しく汚れていた
窓の外にはいつも窓の外がある
ということにみな安心していたけれど
それを希望と呼ぶには
まだ誰の指先も生まれてなかった
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