清らかさと性について/渡邉建志
れば近寄るほど知りたいと思い、知れば知るほど嫉妬をする、しかも謎はいつまでもとけないままたまねぎのように剥けていって、気がつけば消えてしまっている、という、存在のあり方。あなたは誰と僕は叫びたかった。自己主張してよ。かっこ悪いぐらい自己主張してよ。わたしを見て、わたしを見てって叫んでよ、絵の展示会開いてよ、映画作ってよ、ホームページ作ってリンクばら撒いてよ、わたしわたしわたしって言ってよ!!
だけど、あの種の人たちは何もしないでただ微笑んでいるのです。仏のように。京都の国宝の弥勒像は、それに恋した大学生が抱きついたせいで小指が折れてしまったそうです。そして弥勒は傷ついてしまった。不可逆反応を起こしてしまったのです。天使と人間が交わるとはたぶん、そういうことなのではないかと思います。わたしが人間である以上、天使たちとは、たのしく語らっているに越したことはないのだなあと思うのです。
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